第41章 発散

杉浦杏奈の車は街中を三十分ほど走り、やがて寂れた商店街の入口で止まった。

この界隈は、ほかよりネオンが少しばかり明るい。色も雑多だった。赤、緑、紫、青。幾重にも重なり合い、通り一帯をどこか夢の中めいた光景に変えている。

杉浦杏奈は車を降りると、ひとつ深く息を吸い、路地のいちばん奥へ向かった。

この街で、ここが何の場所か知らない者は少ない。歓楽街――そのさらに奥にあるあのクラブは、SMを嗜む者なら誰でも一度は名を聞く店だった。

前世の杉浦杏奈は、ただ噂を耳にしただけだ。まさか今生では、こんなにも早く足を踏み入れることになるとは思わなかった。

入口には、革ジャン姿の男が座っていた。坊主...

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